武田コロイドテクノ・コンサルティング株式会社

第3回 疎水コロイド・親水コロイドとHamaker定数

第2回に登場したHamaker定数の表現は真空中における2つの物体(コロイド粒子)間のvan der Waals相互作用に対するものであった。ここでは、2つの物体が媒質中で相互作用する場合のHamaker定数の表現を導く。van der Waals相互作用の加算性から媒質3における物質1と2からなる2つの粒子1、2に対するHamaker定数A132は次のようになる [1, 2](図1参照)。

ここで、Aij (i,j = 1, 2, 3) は真空中における粒子iと粒子jの相互作用に対するHamaker定数であり、Aij=Aji=√(Aii) √(Ajj) の関係が成り立つ。(1)式の変形の際にこの関係を用いた。とくに、媒質3における2つの同種粒子1に対するHamaker定数A131は次式で与えられる。

また、次の関係が得られる。

Hamaker定数の単位はエネルギーの単位J (ジュール)である。粒子1 = 疎水コロイド、粒子2 = 親水コロイド、媒質3=水の場合、疎水コロイドは水と性質が大きく違うため、A11(真空中での疎水コロイド同士)とA33(真空中での水同士)の差が大きく、(2)式より、A131(以下、A疎水―疎水と書く)は大きくなる。逆に親水コロイドでは、水と性質が近いため、A22(真空中での親水コロイド同士)とA33の差が小さく、A232A親水―親水)は小さくなる。実際、A疎水―疎水は10-19 Jのオーダーで熱エネルギーkT (= 4×10-21 J) の100倍程度、A親水―親水は10-21 JのオーダーでkTと同程度であり、さらに、(3)式からA132A疎水―親水)は10-20 JでkTの10倍程度になることがわかる。このように、A疎水―疎水A疎水―親水A親水―親水 の比はほぼ100:10:1になり、疎水コロイドと親水コロイドの違いをHamaker定数の大小で評価することが可能になる[2]。

図1 媒質中でのHamaker定数
《文献》
  • 1. J.N. イスラエルアチヴィリ著 分子間力と表面力 第3版 大島広行訳 朝倉書店 2013.
  • 2. van Oss CJ, Absolom, DR, Neumann, AW (1980) The “Hydrophobic effect”: Essentially a van der Waals interaction. Colloid Polym Sci 258: 424-427.