武田コロイドテクノ・コンサルティング株式会社

第42回 電気泳動における緩和効果とDukhin数

前回コラムで述べたように、ゼータ電位が高くなると電気泳動移動度に極大が生じる。この現象はゼータ電位が高くなると電気二重層が変形し電場E中における粒子の中での粒子速度Uが遅くなるためである(図1)。緩和効果により遅くなる度合いはDukhin数と呼ばれる因子で記述される。図2はKCl水溶液(室温)中におけるDukhin数Fのκαとゼータ電位依存である。


図1. 高ゼータ電位では電気二重層が変形(緩和効果)


図2. Dukhin数のκaとゼータ電位依存


表1には種々の型の電解質溶液中における電気泳動移動度の近似式(κα ≥ 30の場合に適用可能)を与えた1)。いずれの式もゼータ電位が低い場合(50mV以下)はSmoluchowskiの式(μ = εrεoζ/η)に帰着する。ゼータ電位が高い場合は表1の諸式が適用される(各記号の意味は前回コラムと同様)。


表1 種々の型の電解質溶液中における電気泳動移動度の近似式.κα ≥ 30の場合に適用可能.


文献:1. H. Ohshima, Colloids Surfaces A., 267, 50-55 (2005)



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